整体院で回数券を買わされるけど得なの?返金はできる?柔道整復師が解説

整体院・整骨院で回数券を買わされそうになった。

整体で10万円もする回数券を買わされた。

この手の話は、16年も整骨院を経営していると耳に胼胝ができるほど聞かせていただきました。

少し前までは、整体院で回数券を買わせるなんてことはなかったのですが、徐々にこの手の経営方法が整体業界に広がり、今や回数券を売るのが当たり前になってしまったのです。

大前提として、わたしは回数券を販売していません。だからと言って盲目的に回数券を否定するよう内容は書きません。

本ページでは、整体院の回数券を公平な立場からお伝えさせていただきます。みなさんにとってメリットがある内容になるよう全てをお伝えさせていただきまますので、よろしければご覧ください。

目次

何で整体院で回数券を買わされるの?

整体院で回数券を買わされる理由って何だと思いますか?

実は、この理由には「建前」と「本音」のふたつがあるんです。

建前の理由

回数券を買うと1回あたりの料金が安くなります。

たとえば、本来1回5000円の施術料金が、10回の回数券買うと40000円になり、1回あたり4000円で施術を受けることができます。というような流れです。

つまり、あくまでも患者さんの立場となったときに少しでもお安く施術を受けてもらうために回数券の販売をしているというのが整体院としての建前の理由です。

本音の理由

確実な売り上げを計上したい。

たとえば、初回来院された患者さんが次に来る保証はありません。でも、回数券を販売しておけば正直な話、次に来ても来なくても売り上げは計上されます。整体院だけに限らず、売り上げの予測がもっとも立たないのは「都度払い」なんです。

つまり、あくまでも経営目線に立ったときに売り上げを確実に形状させたいという思いが、回数券販売の本音の理由となります。

たまに、「回数券を売る整体院は腕に自信がないからだ!自信があれば患者さんが都度払いで来るはずだ!」と仰る先生方もいますが、これに関しては妄想憶測が過ぎます。

そもそも腕の良し悪しが非常に曖昧なものですし、回数券を売る整体院のなかにも腕のよい整体師さんはいらっしゃると思います。また、腕に自信があっても腕のない整体師さんもいるでしょうし、回数券販売の有無で腕の良し悪しを決めることはできません。

回数券って本当に「得」なの?

整体院側がどんな理由で回数券を売っても、いわゆるウインウインの状態であれば患者さん側も納得できますよね。

では、実際に回数券って得なのでしょうか?

これに関して、公平な立場から結論を申し上げますと、「得なこともある」です。

当たり前の話ですが、10回通院したときに回数券を買っておいたほうが得な場合があります。ただし、10回も通う必要がなかったとなる場合もあり、その場合は損になります。

これはふたを開けてみなければ分かりません。そのため、「得なこともある」と申し上げました。

回数券は返金・返品できない?

回数券を買うにあたって特に多い疑問が返金についてです。

こちら結論から申し上げます。

回数券が返金・返品できるか、できないかは「施設の判断により異なります

くわしくは下記でご説明しますが、整骨院・整体院などの施設側には、返金・返品に応じる義務は発生しません。

クーリング・オフは適応されないの?

「返金・返品に応じないなんてアリなの?」

「クーリング・オフ制度の適応になるのでは?」

という疑問をお持ちになる人も多いはずです。

回数券のクーリング・オフ制度に関しては「横浜市消費生活総合センター」の解説内容が非常に分かりやすく参考になりましたので引用し掲載させて頂きます。

訪問販売や電話勧誘販売など、不意打ち的な勧誘による契約や複雑な契約などの場合、クーリング・オフ制度が設定されていますが、自ら店舗に出向き購入した場合については、特定商取引法に関する法律の対象ではないため、クーリング・オフ制度は適用されません。また、契約書面の交付義務も課されていません。

整体院で購入した回数券のクーリング・オフは?|相談したい|横浜市消費生活総合センター (yokohama-consumer.or.jp)

上記の文面をご覧いただければお分かり頂けるように、回数券の購入はクーリング・オフ制度の対象外となります。

つまり、整骨院・整体院側には返金・返品に応じる義務は発生しないため、施設判断で問題がないという結論に至ります。

エステでは返金に応じて貰えたけど整体では応じてもらえないの?

なかには「エステでは中途解約・返金に応じて貰えたのに何で整体では応じて貰えないの?」という疑問を持たれる人もいらっしゃいます。

エステ施設は、特定商取引法の「特定継続役務提供」の対象に該当するため「クリーング・オフ制度」・「中途解約」に応じる義務が発生します。(参照:特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド (caa.go.jp))

しかし、整骨院・整体院などは「特定継続役務提供」の対象には該当しないため、エステ施設とは異なります。

また、エステ施設は「3ヶ月コース」など、一定期間を設けたうえで、まとめた額を請求するケースが大半です。

対して整骨院・整体院では、あくまでも「回数券」というチケットをまとめて販売しているという点もエステ施設とは違います。

ちなみにエステ施設のような形態と同じ販売方法を取る施設でパーソナルジムがありますが、現時点でパーソナルジムは特定継続役務提供の対象施設には該当されないため「クーリング・オフ制度」・「中途解約」に応じる義務は発生しません。

どうすれば回数券の返金に応じてくれるの?

ここまでご覧頂ければ、整骨院・整体院は回数券の返金・返品に応じる必要がないことが分かるでしょう。

しかし、場合によっては整骨院・整体院でも回数券の返金・返品に応じてくれる可能性があります。

  1. 転勤等で遠方へ引っ越す場合
  2. 病気・事故等で入院が必要な場合
  3. 医師から整骨院・整体院の通院を禁じられた場合

上記のような場合は「やむを得ない理由」として返金・返品に応じてくれる整骨院・整体院も存在します。

まずは施設側に相談をしてみないことには、返金・返品が行われることはありません。

ダメ元でもお願いしてみる価値は十分にあると思います。

後悔しない回数券の買い方

返金・返品に応じて貰えない可能性が高いことから、整骨院・整体院などで回数券を購入する場合は慎重な判断が必要です。以下で、回数券を買う場合に気を付けて頂きたい「後悔しない対策方法」をご紹介致しますので是非参考にしてみてください。

後悔しない対策法
  1. 初回は回数券を買わない
  2. 10回以上の回数券は買わない
  3. 〇〇回の通院が必要です←信用しない

初回は回数券を買わない

初回は整骨院・整体院などに限らず、どこの施設でも通常以上に良いサービスを受けることができる傾向にあります。

本当の施設の姿を見ることができるのは、3~5回程度通われた頃が目安です。

数回通われたのちに、施術力・スタッフの対応・金額等を総合的に見て「これからも通い続けたい」と思ったタイミングで回数券を買うことをおすすめ致します。

もちろん、整骨院・整体院側から初回時に回数券を勧められることもあります。

その場合は、勇気を出して断りましょう。

10回以上の回数券は買わない

回数券は回数が多いものほど、1回あたりの料金が安くなっているため「お得感」があります。

しかし、リスクも伴います。先述したように整骨院・整体院などの回数券は返金・返品に応じてもらえない場合が殆どです。

様々な理由がありますが、回数券を買っても「途中で通うことをやめる人」は少なくありません。リスクを最小限に留めるという意味でも10回以上の回数券は買わないことをおすすめ致します。

〇〇回の通院が必要です←信用しない

「〇〇さんのような症状の場合は〇〇回の通院が必要ですので回数券の購入がお得ですよ」という案内をされることがあります。

今後の見通しをしっかりと案内してくれる良心的な整骨院・整体院の場合もありますが「回数券を売るための常套句」として案内している整骨院・整体院などが存在することも事実です。

対策として、30回・40回など高頻度・高額な回数券を案内された場合は一度考える時間を設けることが大切です。

周囲の人に相談したり、他の整骨院・整体院などに相談してみても良いでしょう。

こんな人は回数券の購入がおすすめ

何度も言いますが、わたしは回数券の販売をしていません。ただし、回数券を盲目的に批判するつもりもありません。

たとえば、以下のような人は、回数券を買うことで効果が出やすい傾向にあります。

回数券購入がおすすめな人
  1. サボり癖のある人
  2. 飽き性な人
  3. 予算に余裕がある人

あらかじめ回数券を購入することで「絶対に通わなければ」という危機感を持つことができます。

回数券は先行投資のようなものです。

元を取るために通わなければ自分が損をしてしまう。という状況を作りあげることで、上記のような人でも通院を継続することができるというメリットがあります。

最後に

いかがでしたか?

この記事は、少しはお役に立てましたでしょうか?

ひとりでも多くの人が、整骨院・整体院における回数券の返金トラブルで後悔することのないように願っております。

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