「産後の腰痛がずっと引かない。マットレスを変えたほうがいいのかな?」
「赤ちゃんと一緒に寝たいけれど、床に敷く薄い布団だと腰がつらい」
産後の腰痛について、当院でも寝具の相談をよく受けます。当院の産後ケアは1000件以上の施術実績がありますが、この時期の寝具選びには他の腰痛と違う難しさがあります。
赤ちゃんと川の字で寝るには床に敷ける薄い寝具が便利です。一方、腰にとっては薄い寝具が不利に働きます。生活の都合と腰の都合が、真正面から対立するのが産後の睡眠の特徴です。
本ページでは、大分市のゆらぎ整骨院が、産後の腰痛がある方に向けた寝具の選び方を解説します。買い替える前に試せる方法もあわせてご紹介しますので、参考にしてください。
産後の腰痛でマットレス選びに求められる条件

産後の寝具で見るべき条件は、赤ちゃんと並んで寝られる幅があること、体重で潰れない厚みがあること、濡れたときに清潔に戻せることの3つです。
他の腰痛と違い、産後は赤ちゃんと過ごす環境そのものが条件に入ってきます。
赤ちゃんと並んで寝られる幅があること
夜間授乳のある時期は、赤ちゃんとの距離が近いほど負担が減ります。別の部屋やベビーベッドから毎回起き上がるより、隣で寝られるほうが体は楽です。
ただし、大人1人分の幅に2人で寝ると、お母さんは端に寄って窮屈な姿勢になります。寝返りが打てないほど狭ければ、それ自体が腰の負担になります。もちろん赤ちゃん用の布団を別で用意する方法もありますが、同じ布団で眠りたいというケースでは「幅」は重要なポイントのひとつになります。
大人にとって心地よいやわらかい寝具は、赤ちゃんにとって安全な寝床とは限りません。乳幼児の睡眠中の窒息を防ぐため、赤ちゃんの寝床は硬めで平らな面が望ましいとされています。同じ寝具で添い寝をする場合はこの点をふまえて選び、添い寝の可否や方法については出産した医療機関や小児科の指導に従ってください。
体重で潰れない厚みがあること
床や畳に薄い敷布団を敷いて寝ている場合、体重で寝具が潰れて床の硬さが直接伝わります。腰やお尻は体のなかでも重い部分なので、まずここが底に届きます。
この状態では、寝具が寝具として機能していません。産後の寝具選びで最も見落とされやすい点であり、一般的に勧められている選び方とぶつかる部分でもあります。
濡れたときに清潔に戻せること
産後の寝具は、他の時期より濡れる機会が多くなります。赤ちゃんの汗や吐き戻し、おむつ漏れ、母乳のにじみ。加えて、この時期は寝汗が増えたと感じる方も少なくありません。
床に直接敷いている場合、寝具と床のあいだにも湿気がたまります。腰の条件とは別ですが、毎日使うものである以上、無視できない要素です。この点は後半で詳しく説明します。
薄型マットレスが産後に勧められる理由と腰にとっての問題

産後には薄型マットレスが勧められることが多くありますが、その理由は生活のしやすさであって、腰にとっての利点ではありません。両方を満たす形は別にあります。
川の字で寝るために床に敷ける薄さが求められるため
ベッドで赤ちゃんと寝ると、転落の心配があります。床に敷いて寝れば、その不安がなくなります。日中は畳んで部屋を広く使え、赤ちゃんが動き回るスペースもつくれます。
これらは実際に大きな利点で、薄型が勧められる理由には十分な根拠があります。問題は、その理由が腰痛と無関係だという点です。
薄い寝具は体重で潰れて底つきするため
厚みが不足していると、体重のかかる腰とお尻の部分が潰れて床に届きます。腰が硬い床に押し上げられ、支えられているのではなく当たっている状態になります。
産後は抱っこや授乳で腰に負担がかかる時期です。その負担を夜のあいだに逃がすべき寝具が、逆に負担をつくっているケースは珍しくありません。「産後だから薄型がいい」という情報を見るときは、それが誰にとっての利点かを分けて考えてください。
床に敷けることと厚みは両立できるため
ここが結論です。床に敷きたいという要求と、厚みが必要だという要求は、対立しません。
床に直接敷ける形で、なおかつ底つきしない厚みを持ったものを選べば、両方が満たせます。「薄型か、ベッドか」という二択で考えると行き詰まりますが、選択肢はそこだけではありません。
産後に腰痛が起きやすい理由

産後の腰痛は、よく言われる「ホルモンで関節がゆるむから」だけでは説明がつきません。日中の姿勢と睡眠の分断が、実際には大きく関わっています。
妊娠中からの痛みが続いていることが多いため
妊娠に関連した腰や骨盤まわりの痛みは非常に多く、妊娠中に骨盤帯痛を経験した女性のうち一定の割合が、産後も症状が続くことが報告されています。
つまり、産後に突然始まったというより、妊娠中からの症状が続いている場合が多いということです。妊娠中から腰がつらかったという方は、産後だけを切り離して考える必要はありません。
ホルモンの影響だけでは説明がつかないため
「リラキシンというホルモンで靭帯がゆるむから産後は腰痛になる」という説明を、目にしたことがあるかもしれません。
ところが、リラキシンの値と妊娠に関連した骨盤帯痛との関連を調べた系統的レビューでは、両者の関連を示すエビデンスの水準は低いと結論づけられています(Aldabe D, et al. Eur Spine J. 2012;21(9):1769-1776.)。ホルモンで説明を終わらせてしまうと、実際に手を打てる要因を見落とすことになります。
授乳と抱っこで前かがみの姿勢が繰り返されるため
当院で産後の方を診ていて、寝具より影響が大きいと感じるのがここです。授乳のたびに背中を丸めて赤ちゃんを覗き込む姿勢、床から抱き上げる動作。これが一日に何度も繰り返されます。
加えて、夜間授乳で睡眠が細切れになると、横になって腰を休められる時間そのものが短くなります。寝具の見直しが有効なのは事実ですが、それだけで解決すると考えないほうが現実的です。

産後の寝具で清潔さが問題になる理由
産後の寝具は濡れる機会が多く、床に直接敷けば裏側にも湿気がたまります。乾かせるかどうかに加えて、洗えるかどうかが選択肢を分けます。
床に直接敷くと寝具の裏に湿気がたまるため
寝ているあいだに出る汗の一部は、寝具の下側へ抜けていきます。ベッドであれば床との間に空間がありますが、床に直接敷いている場合は逃げ場がありません。
フローリングに直接敷いている場合はとくに注意が必要です。朝、寝具を持ち上げて裏側を触ってみてください。しっとりしていれば、毎日たまり続けています。
赤ちゃんの汗や吐き戻しで濡れる機会が多いため
赤ちゃんは体温が高く、汗をかく量も多くなります。加えて吐き戻しやおむつ漏れがあり、寝具が濡れる回数は大人だけのときとは比べものになりません。
防水シーツを使っている場合、水は防げてもその下に湿気がこもりやすくなります。使うなら、なおさら定期的に乾かす必要があります。
洗えるかどうかは素材によって決まるため
正直にお伝えすると、ウレタン素材は水洗いができません。構造上、空気も抜けにくい傾向があります。近年は通気孔を設けた製品も増えていますが、濡れた場合に洗って戻すという選択肢は取れません。
一方、樹脂の繊維を絡めた構造のものは、中材そのものを水で洗い流せます。産後のように寝具が濡れる前提の時期では、この差がそのまま使い勝手の差になります。カバーだけ洗えるのか、中まで洗えるのかは、購入前に必ず確認してください。
そのうえで、どの素材であっても床に直接敷くなら定期的に立てて乾かすことが必要です。この手間を毎日かけられるかどうかは、産後の生活では現実的な検討事項になります。
産後の方が避けるべきマットレスの特徴

避けたいのは、体重で潰れる薄手のもの、赤ちゃんの寝る場所を確保できない幅のもの、そして一人で動かせないほど重いものの3つです。
体重で潰れる薄手のもの
前述のとおり、産後に薄型が勧められる理由は生活のしやすさであって、腰のためではありません。厚みが足りなければ底つきします。
いま使っている寝具で確かめる方法があります。敷いた状態で腰のあたりに座り、手のひらを差し込んでみてください。床の硬さを感じるようなら、寝たときも同じことが起きています。
赤ちゃんの寝る場所を確保できない幅のもの
シングルサイズに大人と赤ちゃんが並ぶと、お母さんは端に寄ることになります。落ちないよう無意識に体を緊張させ、寝返りも打てません。
結果として、寝具の性能とは関係なく腰に負担がかかります。セミダブル以上を選ぶか、シングルを2枚並べる形にするか、いずれにしても幅の確保は最初に考えるべき条件です。
一人で動かせないほど重いもの
産後は、重いものを持ち上げる動作を避けたい時期です。ところが床に敷く寝具は、毎日畳んだり、定期的に立てて乾かしたりする必要があります。
厚みがあるほど重くなるので、この点は厚みと引き換えになります。腰のために厚いものを選んだ結果、それを動かす動作で腰を痛めては本末転倒です。実際に持ち上げられる重さかどうかを、購入前に必ず確認してください。

マットレスを買う前に今の寝具で試せること
- 敷布団を2枚重ねて底つきが減るか確かめる
- 授乳のときの姿勢を変えて朝の腰の状態を比べる
- 朝、寝具の裏側が湿っていないか触って確かめる
敷布団を2枚重ねて底つきが減るか確かめる
家に予備の敷布団があれば、2枚重ねて数日寝てみてください。厚みが増すことで底つきが減り、朝の腰の状態が変わるかを確認します。
変化があれば、厚みが原因だったとはっきりします。費用をかけずに方向が決まるので、買い替えの前にぜひ試してください。ただし2枚重ねは湿気がこもりやすいので、確認が済んだら元に戻すか、こまめに乾かしてください。
授乳のときの姿勢を変えて朝の腰の状態を比べる
授乳のときに背中を丸めて覗き込んでいないか、確認してみてください。クッションで赤ちゃんの位置を高くすれば、丸まる角度が浅くなります。
数日試して腰の状態が変わるなら、寝具より日中の姿勢のほうが影響が大きかったということになります。この確認をせずに寝具を買うと、期待した変化が出ないことがあります。
朝、寝具の裏側が湿っていないか触って確かめる
起きたら寝具を持ち上げて、床に接していた面と床そのものを触ってみてください。しっとりしていれば、湿気が逃げていません。
この場合、買い替えの前にすのこや除湿シートを敷くだけで改善することがあります。寝具そのものの問題か、置き方の問題かを切り分けてから判断してください。
産後の腰痛に向くマットレスの条件別おすすめ3選
産後は、店舗にゆっくり出向くこと自体が難しい時期です。ここで挙げる3つは、いずれも返金保証が設けられているため、自宅で実際に寝てみてから判断できます。
寝具が合っているかどうかは、朝起きたときの腰の状態でしか判断できません。店頭で数分横になっても、一晩を過ごしたあとのことまではわかりません。返送の条件や申請の期限は変更されることがあるので、購入前に各公式サイトでご確認ください。
そのうえで、3つのどれを選ぶかは次の表で判断してください。上から順に見て、最初に当てはまったものが候補です。
| 当てはまる状況 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 吐き戻しやおむつ漏れで寝具が汚れるのが心配 | エアウィーヴ | カバーだけでなく中材も水で洗えるため、濡れても清潔な状態に戻せる |
| 赤ちゃんと床に敷いて寝たい | サカイの敷ふとん | 床に直接敷ける形でありながら厚みがあり、底つきを避けられる |
| 自分の体重に合った硬さを指定したい | モットン | 体重帯ごとに硬さが分かれており、購入時に選べる |
中材まで洗えて清潔に保てる|エアウィーヴ

産後の条件でもっとも大きな差がつくのが、この点です。エアウィーヴはカバーを洗濯機で洗えるだけでなく、中材のエアファイバーそのものをシャワーで洗い流せます。吐き戻しやおむつ漏れで汚れても、清潔な状態に戻せます。
前述のとおり、ウレタン素材では水洗いができません。産後のように寝具が濡れる前提の時期では、この違いがそのまま使い勝手に直結します。空気の通り道が確保された構造のため、湿気がこもりにくい点も産後には向いています。
また、出産前後の母親から乳幼児、成長期の子どもまでを対象にしたMy First airweaveというシリーズが用意されています。赤ちゃん用のマットレスは、寝返りを妨げないようやや硬めに設計されています。添い寝の注意点として先に述べたとおり、赤ちゃんにはやわらかすぎない寝床が望ましいため、この設計は理にかなっています。
エアウィーヴ
airweave for new mother
寝返りのしやすさと硬さのカスタマイズを両立した妊産婦向けマットレス。上面が4分割のエアファイバー®で、肩・腰・骨盤・脚を分けて支えられます。
- 硬さ
- 4分割・3段階で調整
- カバー
- 完全防水
- 返金保証
- 30日間
保証内容・価格は変更される場合があります。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
床に敷ける形で厚みがある|サカイの敷ふとん
床に敷いて寝たい場合の選択肢です。床に直接敷ける敷布団でありながら厚みがあるため、「川の字で寝たい」と「底つきを避けたい」を同時に満たせます。
前述した薄型マットレスとの対立が、この形なら起こりません。ベッドを置くスペースがない、赤ちゃんの転落が心配という方にとって、現実的な選択肢になります。ただし厚みがあるぶん重さもあるので、毎日の上げ下ろしを想定して確認してください。
サカイ
Recovery design 敷布団
床や畳に直接敷ける形でありながら厚みのある敷布団。ベッドを置かずに底つきを避けたい方に向いています。
- 敷き方
- 床・畳に直接
- 返金保証
- 30日間
- 形状
- 継ぎ目のない一枚
保証内容・価格は変更される場合があります。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
体重に合った硬さを指定できる|モットン
購入時に体重帯に応じて硬さを選べる高反発マットレスです。同じ「沈み込ませない」性能でも、体重が45kgの方と85kgの方では必要な反発力が変わります。
産後は体重が変化する時期でもあります。硬さがあらかじめ分かれていて、自分で指定できる設計は、この時期の体に合わせやすいという意味があります。ただしウレタン素材のため水洗いはできません。防水シーツを併用するなど、濡れる前提の対策が必要になります。
高反発マットレス
モットン
体重に合わせて硬さを選べる高反発マットレス。90日間の返金保証があり、自宅で寝てから判断できます。
- 硬さ
- 体重帯から選択
- 返金保証
- 90日間
- 寝返り
- 高反発で妨げにくい
保証内容・価格は変更される場合があります。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
寝具を変えても腰痛が続く場合の対処
寝具は手段のひとつです。産後の腰痛は時間の経過とともに変化することもあれば、別の対応が必要なこともあります。
次の症状があれば医療機関を受診する
産後の腰やお尻の痛みは多くの方が経験しますが、次のような場合は寝具の問題ではありません。
- 発熱をともなう腰やお腹の痛みがある
- 足のしびれや、足に力が入らない感じがある
- 排尿がしにくい、尿が出にくい
- 恥骨や骨盤に強い痛みがあり、歩くのが難しい
これらに当てはまる場合、マットレスを検討している場合ではありません。出産した医療機関か、整形外科を受診してください。
授乳と抱っこの姿勢を見直す
授乳のときは、赤ちゃんを胸の高さまで持ち上げるようにクッションを使ってください。覗き込む角度が浅くなるだけで、腰と背中の負担がかなり変わります。
床から抱き上げるときは、片膝をついてから抱えて立ち上がります。前かがみのまま持ち上げる動作を減らすことが、この時期の要点です。回数が多いぶん、一回あたりの差が積み重なります。
大分市のゆらぎ整骨院に相談する
当院では産後ケアに1000件以上対応してきました。寝具を見直しても腰の症状が変わらない場合、日中の姿勢や動作に原因があることが少なくありません。
当院は同じ時間帯に他の方を入れない完全貸切での対応で、ハイローチェアとキッズスペースをご用意しています。お子さん連れでお越しいただけます。大分市周辺で産後の腰の症状にお困りの方は、一度ご相談ください。
まとめ
産後の寝具選びは、赤ちゃんと並んで寝られる幅、体重で潰れない厚み、濡れたときに清潔に戻せることの3点で考えます。
産後には薄型マットレスが勧められることが多くありますが、その理由は生活のしやすさであって腰のためではありません。床に敷ける形で厚みのあるものを選べば、両方を満たせます。
そして、寝具だけで解決するとは限りません。授乳のときの姿勢を変えて朝の状態を比べてみると、どちらの影響が大きいかが見えてきます。買い替えの前に、まずそこから試してみてください。
参考文献
- Aldabe D, Ribeiro DC, Milosavljevic S, Bussey MD. Pregnancy-related pelvic girdle pain and its relationship with relaxin levels during pregnancy: a systematic review. Eur Spine J. 2012;21(9):1769-1776.
- Vleeming A, Albert HB, Ostgaard HC, Sturesson B, Stuge B. European guidelines for the diagnosis and treatment of pelvic girdle pain. Eur Spine J. 2008;17(6):794-819.


