五十肩で二の腕が痛いのはなぜ?原因と対処法を柔道整復師が解説

五十肩なのに肩ではなく二の腕が痛い…

医療機関で五十肩と診断を受けているのに、肩ではなく二の腕が痛むことがある。または、五十肩だと自分で思っていたけど二の腕が痛いことで何か他の病気なのではと疑いを持っている。

このような方って実は以外と多いんです。

結論から申し上げますと、40代を過ぎて肩周りの不調を感じる方の多くが経験する「五十肩」は、肩関節だけでなく二の腕にも痛みを引き起こすこともあります。

この痛みは決して珍しいものではありませんが、なぜ肩の病気なのに二の腕が痛むのか、他の病気と区別はつくのか、どのように対処すればよいのかなど、気になることって多いですよね。

本ページでは、五十肩による二の腕の痛みが生じるメカニズムから、他疾患との違い、自宅でできるケア方法、受診の目安までを大分市のゆらぎ整骨院が分かりやすく解説いたします。

目次

五十肩で二の腕が痛い原因とは?

五十肩で二の腕が痛い原因とは?

五十肩(肩関節周囲炎)で二の腕が痛む原因で代表的なものは以下のふたつです。

関連痛(放散痛)

関連痛とは、問題のある部位とは違う部位に感じられる痛みのことです。

五十肩では、肩関節の炎症や癒着が神経を刺激し、その神経が支配する領域である二の腕に痛みが「放散」されることがあります。

この現象は、肩関節周囲の神経が上腕の感覚を支配していることと関係があります。腋窩神経や肩甲上神経などの肩周囲の神経が炎症により刺激されると、これらの神経が通る二の腕に痛みが出現することがあるのです。関連痛の特徴として、痛みの部位を触っても特に圧痛がないことや、肩を動かしたときに二の腕の痛みが増強することが挙げられます。

少し難しくなりましたが、要するに痛みの原因とは別の場所が痛むことは十分にあるということです。

筋肉の緊張と拘縮

筋肉の緊張と拘縮による二の腕が痛むケースもあります。

五十肩では肩関節の可動域が制限されるため、日常生活で肩を動かす頻度が減少します。この結果、肩周囲の筋肉だけでなく、二の腕の筋肉も使用頻度が低下し、筋肉の柔軟性が失われていきます。

特に上腕二頭筋は肩関節の屈曲(腕を前に上げる動作)に関与するため、五十肩により肩の動きが制限されると、この筋肉の緊張状態が続きます。長期間の筋緊張は筋肉内の血流を悪化させ、発痛物質の蓄積を招いて痛みを生じさせます。また、使わない筋肉は次第に短縮し、拘縮(こわばって動かなくなる状態)を起こし、これが更なる痛みの原因となる悪循環となるのです。

二の腕以外に見られる五十肩の症状

二の腕以外に見られる五十肩の症状

五十肩は二の腕の痛み以外にも、特徴的な痛みの症状があります。特に以下の症状は五十肩の特有の症状です。

夜間痛

五十肩の最も特徴的な症状のひとつが夜間痛です。

日中は比較的痛みが軽いのに、夜になると痛みが増強し、なかなか眠りに付けないことがあります。

夜間痛が生じる理由として、横になることで肩関節内の血流パターンが変化し、血流が増加することが挙げられます。また、日中は他の活動に意識が向けられているため痛みを感じにくいのに対し、夜間は静かな環境で痛みに意識が集中しやすいという心理的な面も理由としてあげられます。

患者さんのなかには、患側(痛む側)を下にして寝ることができず、特定の寝姿勢でしか眠れなくなるため、睡眠の質が低下しやすくなり、常に体に疲れを感じる人も少なくありません。

可動域制限

五十肩では肩関節の動きが著しく制限されるため、可動域制限が起こります。

特に肩の外転(腕を横に上げる動作)、屈曲(腕を前に上げる動作)、内旋・外旋(腕をひねる動作)に制限がかかりることが特徴です。この可動域制限は、関節包の癒着や周囲の筋肉の拘縮によって生じます。

日常生活では、洋服の着脱、特に上着を着る際に袖に腕を通すことや、ブラジャーのホックを後ろで留める動作、髪を洗ったり整髪料をつけたりする際に手を頭の後ろに回す動作などが困難になります。また、エプロンの紐を後ろで結ぶ、背中のファスナーを上げる、高い棚の物を取るといった動作も制限されることが多いです。これらの制限は徐々に進行するため、初期の段階は違和感として感じることが多いです。

二の腕の痛みを伴う五十肩以外の疾患

二の腕の痛みを伴う肩の疾患は五十肩以外にも存在します。正確な診断は医療機関でのくわしい検査が必要になりますが、他の疾患との違いをある程度理解しておくと冷静な対応が取れるようになります。

インピンジメント症候群

インピンジメント症候群は、肩を上げる際に腱板(回旋筋腱板)が肩甲骨の突起部分に挟まれることで生じる疾患です。

五十肩との主な違いは、痛みが生じる動作と可動域制限のパターンにあります。

インピンジメント症候群では、腕を横に上げる動作(外転)の特定の角度(60~120度程度)で強い痛みが生じる「有痛弧徴候」が特徴的です。

一方、五十肩では特定の角度ではなく、肩を動かすあらゆる方向で痛みや制限が生じます。

また、インピンジメント症候群では夜間痛はそれほど強くない場合が多く、五十肩ほど可動域制限も重篤ではありません。年齢的には、インピンジメント症候群は比較的若い世代から発症することがあるのに対し、五十肩は文字通り40代後半から60代前半に好発します。

神経痛や頚椎症

二の腕の痛みが神経痛や頚椎症(首の骨の変形)によって生じている場合、五十肩とは痛みの性質が大きく異なります。

神経由来の痛みでは、しびれや電気が走るような鋭い痛みが特徴的です。

頚椎症による神経根の圧迫では、首から肩、腕にかけて放散する痛みが生じますが、この場合は首を特定の方向に動かしたときに症状が増悪することが多いです。また、手指のしびれや握力低下を伴うことがあり、これは五十肩では見られない症状です。

神経痛の場合、肩関節の可動域制限は五十肩ほど顕著ではなく、むしろ首の動きに制限が生じることが多いです。痛みのパターンも、五十肩の持続的な痛みとは異なり、間欠的で鋭い痛みとして現れることが特徴です。

鑑別表

それぞれの特徴をわかりやすく表にしてみました。

項目五十肩インピンジメント症候群頚椎症・神経痛
好発年齢40代後半~60代前半30代~50代50代以降
痛みの性質持続性の鈍痛動作時の鋭い痛み電気が走るような鋭い痛み
痛みが強くなる動作肩を動かすあらゆる方向腕を横に上げる動作(60~120度)首を特定方向に動かす
夜間痛強い(睡眠障害を伴う)軽度~中等度軽度
可動域制限全方向に重度の制限特定角度での制限軽度(首の動きが制限)
しびれなしなしあり(手指まで)
握力低下なしなしあり
特徴的な症状着衣動作困難、洗髪困難腕を上げる途中で強い痛み手指のしびれ、首の痛み
発症パターン徐々に進行急性または慢性徐々に進行

これらは、あくまでも参考表です。実際の診断は医療機関においてくわしい検査を受けたのち医師から受けるようにしてください。

五十肩による二の腕の痛みの対処法

五十肩による二の腕の痛みの対処法

五十肩による二の腕の痛みへの対処法は、症状の進行段階によって大きく異なります。

急性期(炎症期)では炎症を抑制することが最優先となり、慢性期(拘縮期・回復期)では可動域の改善と筋力回復が主な目標となります。

急性期の対処法

急性期は発症から約2〜9ヶ月の期間で、強い炎症反応により激しい痛みが特徴的です。この時期の治療の基本は安静と炎症の抑制です。無理に肩を動かすことは炎症を悪化させる可能性があるため、痛みを伴う動作は控えることが重要です。

アイシング(冷却療法)は急性期の炎症抑制に有効です。アイスバックを患部に15〜20分間当て、これを1日数回繰り返します。ただし、直接氷を皮膚に当てると凍傷の危険があるため、必ずタオルなどで包んで使用しましょう。また、入浴時は熱いお湯に長時間浸かることは避け、ぬるめのお湯で短時間の入浴に留めることをおすすめします。入浴中に肩が疼くようなことがあればその場で中止しましょう。

薬物療法としては、医師の処方による非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が効果的です。これらの薬剤は炎症を抑制し、痛みを軽減する効果があります。市販の鎮痛剤も一定の効果はありますが、症状が重い場合は医療機関での治療が必要です。

慢性期の対処法

慢性期に入ると炎症は徐々に沈静化し、可動域制限が主な問題となります。この時期の治療目標は、癒着した関節包を伸ばし、拘縮した筋肉を柔軟にすることです。温熱療法と運動療法が治療の中心となります。

温熱療法は血流を改善し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。入浴時に肩までお湯に浸かったり、温湿布を使用したりすると効果が期待できます。ホットパックや赤外線治療器なども効果的ですが、熱すぎると逆効果になることがあるため、心地よい温度を保つことが大切です。

運動療法では、痛みの範囲内で徐々に可動域を広げていきます。急激な運動は避け、ゆっくりとした動きで関節を動かすことが重要です。この時期の運動は、後述するストレッチやセルフケアが中心となります。

痛みが続く場合は医療機関へ

五十肩の自然経過は通常1〜2年とされていますが、3ヶ月以上セルフケアを続けても症状に改善が見られない場合は、医療機関へ一度相談してみましょう。

特に、痛みが次第に強くなっている、夜間痛により睡眠が著しく障害されている、日常生活動作が大幅に制限されているような場合は、早期の受診が必要です。

また、セルフケアを行っているにもかかわらず可動域制限が進行している場合や、二の腕の痛みに加えて手指のしびれや脱力感が現れた場合は、五十肩以外の疾患の可能性も考慮する必要があります。頚椎症や神経圧迫症候群、腱板断裂などの鑑別診断のためにも、必ず医療機関でくわしい検査を受けてください。

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