五十肩を一瞬で治す方法「知恵袋」の回答を柔道整復師が解説

「五十肩を一瞬で治す方法を知りたい…」

「五十肩の痛みをとにかく和らげたい…」

五十肩の痛みを何とかしたいときに意見を参考にしたいのが、五十肩経験者の声。そんな経験者や有識者(自称)が集うサイトが知恵袋です。現に、五十肩の治し方などを検索すると知恵袋の回答が山のように出てきます。

しかし、知恵袋の回答を鵜呑みにし過ぎるのは要注意!なかには、五十肩を悪化させるリスクのある回答も散見されます。

本ページでは、大分市のゆらぎ整骨院が五十肩の治し方で知恵袋の回答をいくつかピックアップして、正しい回答なのかを僭越ながら解説していきたいと思います。気になる方はぜひ、参考にしてみてください。

目次

五十肩を治す方法で知恵袋によくある回答&柔道整復師の見解

五十肩を治す方法で知恵袋によくある回答&柔道整復師の見解

とにかく早くリハビリを受ける

とにかく早くリハビリを受けることは五十肩の早期改善に効果的です。

Therapy(2009年)に掲載された研究では、早期の適切な治療とリハビリ開始により関節拘縮を予防し、可動域制限を最小限に抑えられることが示されています。(※1)

ただし、注意点は、急性期(炎症期)の積極的なリハビリテーションは逆効果のリスクがあることです。特に、早期改善を目指すあまりに痛みを我慢して行うリハビリは症状を悪化させるだけであり、早期改善を遅らせてしまう可能性が高くなるためリハビリの時期を自己判断しないようご注意ください。

(※1)五十肩:リハビリテーションを導く証拠と提案されたモデル |整形外科およびスポーツ理学療法ジャーナル

鍼治療が効く

鍼治療は、五十肩による痛みを緩和させるために有効です。

もちろん万能な治療方法ではありませんが、鍼灸治療により、運動時痛の67%、安静時痛の44%、夜間痛の56%で一時的軽減 (数時間~数日間) を認めたという報告もあります。(※2)

ただし、数値から分かるように鍼灸治療の効果を感じる人はおよそ50%程度です。これには施術者の技術や患者の鍼灸治療に対する信頼など様々な要因が関わっていると予想されます。

(※2)五十肩に対する鍼治療の効果|全日本鍼灸学会雑誌46巻4号

筋肉を緩めてもらう

筋肉を緩めてもらう方法で五十肩の痛みを早期改善させることは難しいです。

確かに、筋肉を緩める徒手療法はリハビリの現場でも用いられることが多い療法のひとつですが、徒手療法単独での効果は非常に低いという報告も出ています。(※3)

つまり、俗に言う「揉みほぐし」のような施術は、五十肩の痛みの早期改善には効果が期待できにくいという結論に至ります。

(※3)五十肩:リハビリテーションを導く証拠と提案されたモデル |整形外科およびスポーツ理学療法ジャーナル

肩を温める

肩を温める方法は、温熱療法と呼ばれ多くの研究結果において、五十肩の痛み緩和に効果的だと報告されています。

温熱療法の方法は、自宅で行える入浴やホットパックなどの表層温熱と、医療機関で受けられる超音波や短波ジアテルミーなどの深部温熱に分けられます。特に深部温熱療法は、表層温熱よりも痛みの軽減と機能改善に優れた効果があることが2008年の研究で報告されています。(※4)

また、2022年のメタアナリシスでは、超音波深部温熱療法(UST)が運動療法やストレッチと併用した場合、プラセボと比較して痛みスコアを有意に改善することが示されました。(※5)

ただし、温熱療法は単独で行うよりもストレッチや運動療法と組み合わせることでより高い効果が期待できるため、温めるだけで満足せず、適切なリハビリと併用することが重要です。

(※4)Effects of deep and superficial heating in the management of frozen shoulder|Journal of Rehabilitation Medicine

(※5)Effectiveness of Ultrasound in the Management of Adhesive Capsulitis of the Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis|International Journal of Environmental Research and Public Health

インナーマッスルを鍛える

インナーマッスルを鍛えることは、五十肩の改善と予防に効果的です。

インナーマッスルとは、肩関節を安定させる回旋筋腱板(ローテーターカフ)のことを指し、この筋肉群を強化することで肩関節の安定性が高まり、痛みの軽減と可動域の改善が期待できます。

2017年のランダム化比較試験では、回旋筋腱板の筋力トレーニングを関節モビライゼーションとTENSに追加したグループは、追加しなかったグループと比較して、痛みスコア(VAS)、肩の痛みと障害指数(SPADI)、可動域すべてにおいて有意な改善を示しました。(※6)

ただし、注意点として、痛みが強い急性期(炎症期)には運動は控えるべきです。インナーマッスルのトレーニングは回復期に取り入れることで最も効果を発揮するため、リハビリの段階に応じて適切に実施することをおすすめします。

(※6)Rotator cuff strengthening exercises in the treatment of shoulder impingement in adults: A randomized controlled trial|Journal of Hand Therapy

痛くない方向にどんどん動かす

痛くない方向に動かすことは、五十肩の改善に一定の効果がありますが、「どんどん動かす」という表現には注意が必要です。

日本理学療法士協会のハンドブックでは、「痛みのない程度に運動する」ことが推奨されています。痛みを我慢して無理に動かすことは炎症を悪化させる可能性があり、早期改善を遅らせてしまうリスクがあるのです。(※7)

実際、2009年の研究では、痛みの閾値を超える積極的なストレッチ(aggressive stretching)を行ったグループは、痛みを超えない範囲での運動(supervised neglect)を行ったグループよりも成績が悪かったと報告されています。(※8)

痛みが強い急性期には振り子運動など痛みの出ない範囲での穏やかな運動が推奨され、回復期に入ってから徐々に可動域を広げていく段階的なアプローチが効果的です。

(※7)理学療法ハンドブック シリーズ13 肩関節周囲炎|公益社団法人 日本理学療法士協会

(※8)Frozen Shoulder: Evidence and a Proposed Model Guiding Rehabilitation|Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy

肩甲骨・鎖骨周りを正常な位置に戻す

肩甲骨や鎖骨周りを正常な位置に戻すことは、五十肩の改善に間接的な効果がある可能性があります。

五十肩では肩甲骨周囲筋の硬直が可動域制限に関係するため、肩甲骨の可動性を改善することは理論的に有効とされています。臨床現場でも肩甲骨周囲のストレッチや体操が推奨されており、運動療法の一部として行われることが多いです。(※9)

ただし、肩甲骨を「正常な位置に戻す」方法が確立されていない以上、どのようなアプローチで肩甲骨を正常な位置に戻すことが効果的なのかは明らかにされていません。

(※9)リハビリ治療blog 肩関節周囲炎〜後編〜|中村整形外科リハビリテーション科

サプリを飲む

サプリメントを飲むことで五十肩を早期改善させることは、現時点では医学的根拠が非常に限定的です。

2023年の動物実験(ラット)では、ビタミンC投与が二次性五十肩の関節包肥厚を軽減する可能性が示されましたが、これは予防的投与の前臨床研究であり、ヒトでの有効性は未確認です。(※10)

また、グルコサミンやコンドロイチンなど一般的な関節サプリメントについても、五十肩に特化した研究は見つかっておらず、効果は実証されていません。

したがって、サプリメントに頼るよりも、エビデンスのある運動療法や温熱療法、必要に応じて医療機関での注射療法などを優先することをおすすめします。

(※10)Vitamin C as a Potential Prophylactic Measure Against Frozen Shoulder in an In Vivo Shoulder Contracture Animal Model|Orthopaedic Journal of Sports Medicine

漢方を飲む

漢方を飲むことは、五十肩の痛み緩和に一定の効果が期待できます。

日本の臨床研究では、治打撲一方、麻杏薏甘湯、二朮湯、薏苡仁湯の4つの漢方薬を使用した場合、有効率79.1%という良好な治療成績が報告されています。(※11)

また、2023年のシステマティックレビューでは、中医学(TCM)が五十肩患者の症状改善に効果的で安全性が高いことが示されています。ただし、エビデンスの質にはばらつきがあるため、漢方薬を選択する際は専門医や漢方医と相談することが重要です。(※12)

代表的な漢方薬として、体を温め水分代謝を向上させる二朮湯、血流改善効果のある桂枝茯苓丸、夜間痛の緩和に効果的な芍薬甘草湯などがあります。

(※11)肩関節周囲炎に対する漢方治療|エメラルド整形外科疼痛クリニック

(※12)Traditional Chinese Medicine for frozen shoulder: A systematic review and meta‐analysis|Journal of Evidence‐Based Medicine

ブロック注射をうつ

ブロック注射をうつことは、五十肩の痛みを早期改善させるために非常に効果的です。

ブロック注射には、関節内に行うステロイド注射と、神経に対して行う肩甲上神経ブロック(SSNB)があります。

2016年のシステマティックレビューでは、関節内ステロイド注射がプラセボや理学療法と比較して短期(最大12週間)で優れた効果を示すことが確認されています。また、2020年のネットワークメタアナリシスでは、発症後1年未満の五十肩に対してステロイド注射が最も効果的で、効果は最長6ヶ月持続することが示されました。(※13)

肩甲上神経ブロック(SSNB)については、2022年のランダム化比較試験で、症状持続期間が平均6ヶ月短縮(5.4ヶ月 vs 11.2ヶ月)し、痛み、可動域、機能すべてが改善したと報告されています。(※14)

特に痛みが強い炎症期には、ブロック注射を早期に受けることで痛みを大幅に軽減し、その後のリハビリをスムーズに進めることができます。

(※13)Corticosteroid injections for adhesive capsulitis: a systematic review|Cochrane Database of Systematic Reviews

(※14)Suprascapular nerve block for the treatment of frozen shoulder: a randomized trial|BMC Musculoskeletal Disorders

自然治癒を待つしかない

自然治癒を待つだけでは、五十肩の早期改善は期待できません。

確かに、五十肩は従来「自然に治る(self-limiting)」疾患とされてきましたが、この認識は近年の研究で修正されています。完全回復まで18〜30ヶ月(1.5〜3年)かかることが多く、約80%の患者が最終的にほぼ正常可動域まで回復しますが、10〜50%には痛みや可動域制限が2年以上残ることが報告されています。(※15)

さらに、2017年のシステマティックレビューでは、「痛みの強い時期→硬くなる時期→回復期」という段階を経て完全に治るという従来の理論を支持するエビデンスは見つからず、むしろ改善は早期に起こり後期には遅くなることが示されました。(※16)

放置すると痛みが慢性化し、関節拘縮が進行し、回復期間が長引く可能性が高いため、自然治癒を待つのではなく、適切な治療を早期に受けることが強く推奨されます。

(※15)Natural history of frozen shoulder: a 2- to 27-year followup study|Clinical Orthopaedics and Related Research

(※16)No consistent evidence of association between pain-related and psychosocial factors and dysfunction in frozen shoulder patients: a systematic review|British Journal of Sports Medicine

五十肩を一瞬で治す方法は存在しない

五十肩を一瞬で治す方法は存在しない

ご覧いただいたとおり、五十肩の早期改善に効果的な方法はいくつかありますが一瞬で治す方法は存在しません。

月並みな言葉になりますが、五十肩を改善させるためには適切な休息・運動が最も効果的なのです。すぐにでも痛みを改善させたい気持ちは理解できますが、焦れば焦る分だけ悪化のリスクが高くなることをご承知おきください。

知恵袋の回答で五十肩を治すのは危険

知恵袋の回答を参考に五十肩を治そうとするのは非常に危険です。

なぜなら、知恵袋で回答をしている人は、あなたを知らないからです。質問でどれだけ現在の症状を細かに書いても、回答者はあなたの体を直接確認したわけではありませんよね?そんな状況で五十肩の痛みを改善する解決策を提案するなんて無理があります。

ましてや、完璧な正解が存在しない五十肩の治療方法に対して、体を確認せずに自分の経験測だけで治療法を提案するなんてリスクしかありません。

もちろん、質問者が藁にも縋る思いで知恵袋で質問をしていることは承知しています。それでも、その行動はリスクが高いことをご承知おきください。

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